ハーネマンのホメオバシー理論

もう少しハーネマン氏のホメオバシー理論についてお話ししましょう。ハーネマン氏の表現を借りれば、その物質が限りなく薄く希釈されるほど治癒能力によるセルフケアの効果があるとされています。

 

ホメオバシーという言葉は、ギリシア語で同じを意味する言葉と「苦しむ」を意味する言葉の合成語となっています。ホメオバシーの対義語として、一般的・伝統的な医療と「異なる」の意味を合成した「アロパシー」もあります。これが、ホメオバシーの起源となっており、実はハーネマン氏の死後に、ホメオパス(支持者)の意見は二分したのです。

 

いわゆる「低効能派」は希釈度合を濃くしたレメディーを患者に投薬することになり、「原理派」はあくまでハーネマン氏の主張通りの薬効を主張しました。こうして現在のホメオバシーには大別して「クラシカル」と「プラクティカル」という2派があるとされ、前者はハーネマン氏の理論を重視して症状にふさわしいレメディーを処方します。一方後者は複数種のレメディーの処方を推奨しています。

 

ドイツからの発祥ということからか、ナチスドイツ時代には、ホメオバシーは新ドイツ医学の一角をなすものとして期待されて、ナチス政権によって厚遇されていたようです。1937年には副総統ルドルフ・ヘス、親衛隊長官ハインリヒ・ヒムラーらも出席して、ベルリンにて第一回国際ホメオバシー学会も開かれています。

 

ちなみにハーネマン氏の理論を踏襲した現代のホメオバシーは、ある病状を引き起こす成分はそのままでは有毒であるので水によって極めて高度に希釈したものを砂糖に染み込ませる方法を採っています。